うつ、離婚と休職、35歳のおじさん。

2022年9月から休職しているおじさん。うつになって、離婚(予定)し、0歩進んで2歩下がる日常を送る。

サラリーマンになれなかったフラリーマン

結婚して、数年。

気付いたら、望んで残業するようになった。

帰っても居場所はないから。

 

愛する我が子はいる。けれども、居心地はすごい悪い。

自分の話をすることはほとんどない。

今日何があって、何を感じたか、聞くことはあっても、話すことはない。

 

帰り道の公園で、ベンチに腰を下ろす。

午後8時。まだそこまで遅い時間じゃない。まだ妻と子供は起きている。

 

帰りたくないな。このまま、どこかに行きたいな。

そんな言葉を口にする。

 

愚痴や不満を受け止めてくれる友人はいない。

ずっと一人。

 

なんで生きてるんだっけ。何が楽しいんだっけ。

 

夜空に星が浮かんでいる。きらきら、きらきら。心が荒んでいるからか、綺麗とは感じない。

 

夜九時を過ぎて、家に帰る。妻は子どもと一緒に寝ている時間だろう。

買ってきた弁当をチンせず、洗面所で食べる。

明かりが少しでも入ると、妻の癇癪に触り、怒鳴ってくる。

「こどもがおきるだろうが!!」

子どもが中々、寝付かないのは、妻がイライラしていて、早く寝ろよというプレッシャーが感じられるからではないだろうか。口にしたら、また、ヒステリックになり、何をするかわからないから、もちろん、声にしない。君の好きなようにすればいい。

 

洗面所の暗がりで食べるご飯は味がしない。人は舌で味わうとともに、目でも美味しさを捉えているんだろう。暗闇では、口にしたものが何か、わからない。

 

無言で、急に洗面所のドアを開ける妻。

「いたの?・・・邪魔なんだけど?」

 

少し避けて、妻を通す。

イラっとするけど、顔には出さない。そんな態度や言葉はおかしいと、自己弁護しない自分も悪いのだろう。

 

夫婦は話し合いが大事です。思いやりが大事です。

話し合う前に、思いやる前に、人の人格を否定する悪態の数々には、それは無意味です。

 

フラフラ、足取りが重いサラリーマン。

帰り道、家に帰りたくないサラリーマン。

子どもは愛くるしいけど、妻の悪態の前には霞んでしまうサラリーマン。

帰宅恐怖症なんです。家に帰るのが怖いんです。

 

楽しいことってなんですか。幸せってなんですか。

結婚するとなるんですか。築き上げてこなかったのが、悪いんですか。

価値観の違い。育ってきた環境の違い。性差。年の差。

違いはそのまま、お互いの悪いところが目につき、それを執拗に追及する。

 

息苦しい。上手く呼吸ができない。家に帰り、妻の顔を見ると、体が緊張する。

平日よりも、家に長くいる土日の方が疲労がすごい。

僕の体調は、金曜日に一番よく、月曜日に悪い。土日で疲れ切って、平日に心を休めているからだ。

 

何年か前の自分の姿に同情を隠せない。

2度ほど、疲労からくる胃腸炎で入院している。その症状が出たのは、結婚してからだ。合わない他人との共同生活は、自分を摩耗して、すり減らしていた。

 

フラフラ帰るサラリーマン。フラリーマン。君の家はそこじゃないよ。

逃げてもいいんだよ。死ぬぐらいなら。自殺した方がいいな。どこで死のうかな。そんなことを考える毎日なら、全部投げ出して、何も持たずに逃げていいんだよ。

死んだらそこでお終い。死ななかったからこそ、言える、今だから言える。

逃げて、死なないで。ただ、逃げて。立派な夫じゃなくてもいい。家族を支える夫じゃなくてもいい。離れても、子どもを想うことはできるよ。

 

まだ、うつから復職していない自分だけれども、当時の自分に一言だけ届ける。

 

「死にたいほど苦しいけど、孤独でひとりぼっちだけど、ただ、死なないで」

 

一言が長いか。

 

今は、妻と別居して、テレビのバラエティー番組を見て、笑っている自分に驚いた。

自然と笑顔が出てくるなんて、何年ぶりだろう。

 

死ななくて、よかったね。